隣戸間の熱損失をゼロとみなせる仕様とは
更新日:2023年12月18日
以前の記事で、マンションのお隣からの熱損失をゼロにできるルールができたとお伝えしたものの、それには条件がありました。
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そこには、
外気に接する壁および開口部の熱貫流率は、告示266号の基準値以下とするとあります。
その部分を大したことないとして前回の記事では省略してしまいましたが、新築ではおそらくそうでも、既存住宅なら、そうとも言えないという内容に踏み込みます。
※本記事は6地域を前提とします。
まず、告示266号はどのような条件なのか。
共同住宅、鉄筋コンクリートの壁内断熱を探すと、5.6.7地域で熱貫流率が
0.97
とあります。
また、開口部については、
4.7
です。
ペアガラスならどんな条件でも熱貫流率が4.65以下ですから、開口部の条件はアルミサッシペアガラス以上の性能となります。
参考
さて問題は、壁の熱貫流率です。
そこで、姑息にもギリギリはどんな条件となるか、壁の部位熱貫流率を算出してみました。
断熱材は吹付硬質ウレタンフォームです。
A種1H:現在の主流
λ=0.026以下
A種1:以前の仕様
λ=0.034以下
A種3:木造で普及している透湿抵抗の低いもの
λ=0.040以下
[熱貫流率が0.97未満となる仕様]
■RC壁(180mm)
A1Hの20mm⇒0.969 OK
A1の30mm⇒0.873 OK
A1の25mm+PB⇒0.961 OK
A3の30mm+PB⇒0.947 OK
(石膏ボード9.5mmを入れるのが姑息ですが)
■ALC壁(100mm)
A3の15mm⇒0.951 OK
※理解しないで結果だけを利用しないでください。責任は取れません。
以上の結果をまとめると
A1Hだとわかれば、断熱厚みは20mmでよい。
吹付ウレタンフォームの種類がわからない場合は、30mm必要。
もし、中住戸ならALC壁のみとなる場合があり、それなら15mmでよい。
この条件を見ると、
A1Hの20mmに寄せたなと理解できます。
ペアガラスであることと併せて、おそらく2010年程度以降の築年じゃないと、この有利な熱損失係数はなかなか使えないでしょう。
また、廊下とバルコニー側の壁がALCだったりする(タワマンの大半など)と、これまた使える範囲が広がります。
そもそも中住戸なら、省エネ基準を満たす可能性が高いのですが、もはや、設備の条件をほとんど入れなくてもクリアするなど、資料収集の省力化に貢献してくれます。
以上の結果より、既存住宅ではどこでも使えるというルールではないですが、ぜひとも活用したい仕組みのご紹介でした。
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