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住宅性能評価機関で発行する意味とは?

更新日:5月10日

タイトルだけでは何のことやら、住宅省エネルギー性能証明書のお話です。


これまで住宅の性能評価等級に関わる証明書類は、住宅性能評価機関等でしか発行できませんでした。

この仕組みは、評価基準を熟知した者がチェックすることによって、評価書の質を担保するという狙いがあるからです。


しかし、住宅省エネルギー性能証明書は、建築士で発行が可能です。

この背景として、省エネ性能説明制度が始まり、そろそろ義務化も目と鼻の先にチラついている状況で、当然建築士は省エネルギー計算をしたうえで建築しているのだから、その建築士名で責任をもって発行すれば良いという前提があるからでしょう。


ただいま、住宅性能評価機関は省エネの厳格化でてんやわんやですから、そちらをさらに忙しくさせるわけにもいかず、役割分担しましょうやという話です。


ところが、いざ住宅省エネルギー性能証明書が必要とされても、建築士は発行したことないし、実は省エネのことも全員が理解しているわけじゃない。


というわけで、行き場の無くなった方のために、国交省は法の意図とは逆に、住宅性能評価機関等に号令をかけて一覧表を作成し、ここなら発行できますという流れを作ったらしい。



 

それで、だったらと、片っ端から電話してみると、受けるところが無いとの泣きの相談が入ってくる。


どうしてこんなことになるのか。


新築でその性能評価機関にフラット35とかを別に申請していれば、その書類を確認できるけど、いきなり知らない物件を持ち込んで消費者が窓口に来たところで、返されるのは「計算書を持って来てください。」との冷たい回答。


建築関係者なら分かりきったことですが、性能評価機関にしろ、確認機関にしろ、建築のプロしか相手にしないのは当然のことです。


だって、いちいち法規とか評価基準とか教えてあげる立場じゃないですから。


教えたところで理解できます?

その知識は、次に使う機会無いかもしれないですよね。


そもそも、多かれ少なかれ、お互いに基準を理解している者同士が、チェックしている世界なのです。


性能評価機関は、持ち込まれた計算書や図面などを確認して、「確かに合っています。」というお墨付きを与える業務であって、実際の計算作業をしているわけではないと、知っておいてほしいです。


住宅省エネルギー性能証明書を発行して欲しいからと言って、ドアをノックしたところで、エンドユーザーが受けてもらえるわけがない。

そこは、建築士等の制度を理解したプロを挟んでくださいという業務フローなわけです。


だけど、最初の話に戻ると、建築士が計算書を作成するなら、そこで発行すれば良いわけで、わざわざ性能評価機関のお墨付きなど全く不要。

しかも、余計な審査料がかかり、解釈の質疑応答があり、追加の作業がいっぱい。

同じ書類なら、効果は一緒ですよ。


そうなると、いったい誰が性能評価機関等に「住宅省エネルギー性能証明書」の発行を求めるのかです。


先述のとおり、既にその機関で別の証明書などを発行しているなら、意味が無いわけではありません。


まあ、それくらいですかね。


それだって、フラットとかBELSとか、作成している建築士がいるんだから、そこで出せばいいじゃないですか。


計算をした建築士が発行すれば良いだけで、性能評価機関を介することは、ほぼ意味が無いのです。


結局のところ、国交省はたらい回しで混乱を招いているだけで、問題は、当該建物に関わらない第三者で計算ができる建築士事務所が不足しているということ。


2025年4月の義務化を迎えれば、新築はある程度片付くのでしょうが、ストックとして残り続ける既存住宅への対応はどうなるんでしょうねぇ?



ちなみに、上記の理由から、


誰かが計算書を作成→証明書を発行


というステップを一貫で行うか、二段に分けるかという話ですから、通常であれば、性能評価機関を通す方が費用も多くかかるでしょう。


要するに、こちらのリストにある性能評価機関の料金をご覧になって、けっこう安いじゃないかと思われるかもしれないですが、単純な料金表の表示価格に加えて、性能評価機関に持ち込む前の作業(費用)があることをご認識いただきたいと存じます。

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