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エアコンの「い・ろ・は」ってなに? 省エネ計算で気をつけたいポイント

  • 執筆者の写真: show3管理者
    show3管理者
  • 12 分前
  • 読了時間: 3分

住宅の省エネ性能を評価する際に、「一次エネルギー消費量計算」というステップがあります。これは、家の断熱性や設備の省エネ性能をもとに、どれだけエネルギーを使うかを試算するものです。


この計算の中で、エアコンの性能を入力する欄が登場します。ところが、ここでちょっとした疑問が生まれます。





「い・ろ・は」って何のこと?



エアコンの性能を入力する際、「(い)」「(ろ)」「(は)」という区分を選ぶ必要があります。ですが、家電量販店で見かける「APF(通年エネルギー消費効率)」や「冷房能力」などのスペック表には、この「い・ろ・は」は載っていません。


では、この区分はどこで判断するのでしょうか?





区分の正体は、建築研究所の資料にあり!



この「い・ろ・は」の区分は、建築研究所がまとめた資料の中にある「第4章 暖冷房設備/第3節 ルームエアコンディショナー」に記載されています。さらに、資料の後半には、次のような情報が載った表があります:


  • 区分(い)を満たす性能の基準

  • 区分(ろ)を満たす性能の基準

  • 数値の計算方法


ここに書かれている基準をもとに、自分で計算すればエアコンの区分を判定することができます。





実際の計算方法は簡単!



「定格冷房エネルギー消費効率」という項目は、


冷房能力 ÷ 冷房消費電力


というシンプルな式で求められます。


例:

  • 冷房能力:2.2kW(=2200W)

  • 消費電力:545W



この場合、


2200 ÷ 545 ≒ 4.03


となり、建築研究所の定める区分(ろ)の基準値に届かないため、区分(は)に該当します。





わざわざ入力しない方がいい場合も?



実は、エアコンが無し(機器を設置しない)を選ぶと、仮に「エアコンの区分(ろ)」の性能として計算される仕様になっています。

また、エアコンを設置するが、区分の入力を省略すると、仮に「エアコンの区分(は)」であるとなります。


つまり、もしあなたが性能の高い「区分(い)」のエアコンを使う予定であれば、入力した方が一次エネルギー消費量の計算結果が良くなります。


しかし、一般的な普及型エアコン(=区分「は」)を入力すると、エアコン無し前提とするよりも、逆に省エネ評価が下がってしまうケースも。

これが、省エネ基準を満たすかどうかの判定や、税制優遇を受けるための評価に影響するとなれば一大事です。


だから、「とりあえずエアコンを入れるつもりだけど性能はわからないや。」というのであれば、エアコンを設置しないとするのが賢いのです。



(い)は、だいたいフラッグシップモデルくらいと思っていれば間違いありません。

旧モデルでもそんなに極端に古くなければ、同じような評価です。

エアコンは、かなり頻繁にモデルチェンジをしていますが、消費電力という観点では、最近は、もはや限界まで行き着いてしまっているのでしょう。



ところで、年間消費電力量、省エネラベル、省エネ基準達成率、通年エネルギー消費効率など、エアコンには性能を示すたくさんの指標があって、しかもそれらの情報があるにもかかわらず、住宅の省エネ計算では使わないという、かなり面倒なことになっています。



結論:性能が高くないなら、入力は慎重に!



エアコンの「い・ろ・は」区分は、省エネ計算に関わる方にとって重要なポイントですが、とくに、性能が区分(い)レベルでないエアコンを導入する場合は、エアコンをとりあえず設置しないとした方が評価に有利なこともあるので注意が必要です。


迷ったときは、建築研究所の資料を確認するか、信頼できる専門家に相談するのが安心ですね。

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