新築時の書類があればOK!既存住宅の減税制度を利用する効率的な進め方
- show3管理者
- 10月7日
- 読了時間: 4分
更新日:11月17日
既存住宅において、住宅ローン減税などの優遇措置を受けるためには、通常、省エネルギー性能の計算を行い、その結果に基づいて証明書を発行する必要があります。
しかし、一定の条件を満たす住宅については、新たな計算を行わずに、建築士が「住宅省エネルギー性能証明書」等を発行できる場合があります。
■ 計算を行わずに発行できる主なケース
以下のいずれかに該当する場合、新たな計算を行わずに省エネ性能を証明することが可能です。
建設住宅性能評価書において、省エネ基準(断熱等級4以上かつ一次エネ等級4以上)を満たしていることが明らかな場合
長期優良住宅として認定を受けている場合
低炭素住宅として認定を受けている場合
いずれも「新築時の発行から2年間」は、これらの書類をそのまま税務署に提出して、住宅ローン減税や贈与税の非課税枠拡大のために使用できます。
ただし、2年を超えた書類はそのままでは使用できません。
■ 建築士による確認と再発行の考え方
新築時点で上記のいずれかの条件に該当する住宅は、すでに省エネ性能が確認されています。
そのため、経年劣化によって性能が低下していないことを建築士が確認できれば、改めて再計算を行わずとも、建築士の判断で証明書を発行することが可能です。
なお、省エネ性能の確認の場合は、住宅省エネルギー性能証明書となりますが、長期優良住宅や低炭素住宅の場合の証明書は、名称が異なります。
認定長期優良住宅建築証明書
認定低炭素住宅建築証明書
■ 制度の浸透と対象住宅の増加
制度の普及に伴い、築浅の住宅ではこれらの条件を満たす物件が徐々に増えています。
また、省エネ基準の適合義務化は2025年4月(令和7年4月)開始。原則としてすべての新築住宅・非住宅が対象となり、建築確認手続きの中で省エネ基準への適合性審査が行われます。適用は2025年4月以降に工事着手するものからとされています。
そのため、現在ご依頼を受ける住宅の中にも、再計算を行わずに証明書を発行できるケースが一定数見られるようになっています。
■ 既存住宅市場の今後
今後、建て替えや更新が進むことで、既存住宅においても改めて省エネ計算を行う必要性は次第に減少していくと考えられます。
とはいえ、日本の既存住宅ストックは2023年10月1日現在で約6,504万7千戸にのぼります。
新築の供給がこの巨大なストックを短期間で置き換えることは現実的ではなく、更新は緩やかなペースになりますから、当面の状況は、あまり変わらないとして間違いありません。
■ 証明書発行費用について
当事務所では、通常価格(マンション:66,000円/戸建:110,000円)のところ、
上記のように「新築時の資料が活用できる住宅」については、計算の手間がかからないことから、33,000円で対応しています。
詳しい料金表はこちら:
■ 資料を引き継ぐことの重要性
新築時の性能評価や認定の資料をしっかりと引き継いでおくことで、再計算の手間を省きつつ、減税を受けられるという大きなメリットがあります。
購入時・相続時・売却時など、どの段階でも「書類の保全」は非常に重要です。
■ それでも「再計算」した方が良いケース
以下のような場合には、改めて計算を行った方が有利になることもあります。
新築時の評価よりも高い性能を証明できる可能性がある場合
例:中住戸などで新しい評価方法を用いることで、より高い等級が得られるケース
なお、このような新築時の性能が明らかであるものの、書類が引き継がれていないという場合でも、改めて省エネルギー計算を実施すれば、手間と追加のお金はかかるものの、税制優遇を受けることは可能です。
■ まとめ
新築時に性能が証明されている住宅は、その結果をもとに建築士が証明書を発行できる。
ただし、現状の劣化状況については、建築士による確認が必要。
既存住宅は約6,505万戸(2023年時点)と巨大で、省エネ義務化は2025年4月開始。新築時の資料を確実に引き継ぐことが、今後の減税や優遇措置の鍵となる。





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