過去発行の建設住宅性能評価書の扱い
更新日:2023年1月8日
新築時に建設住宅性能評価書を取得する住宅は毎年19万戸前後であり、直近で供給される全住宅の2割程度となります。
さて、既存住宅の売買で建物の性能を証明するにあたり、この新築時の建設住宅性能証明書が使えるかどうかというのが、今回のテーマです。
利用するケースとして想定するのは、
住宅ローン減税
贈与税非課税措置
この2制度を検討します。
住宅ローン減税については、国税庁のサイトにきれいな表があります。
こちらによると、過去発行分という点においては、家屋の取得の日前2年以内という条件となります。
なお、余談ではありますが、取得の日以後6か月以内でも可能です。ただし、既存住宅の建設住宅性能評価というのは、毎年100件に満たないので、新築と比べるとほぼ無いに等しいと考えてください。
→住宅省エネルギー性能証明書でOK
一方で、贈与税非課税措置はどうかと調べると、こちらは国税庁のサイトでは明示されている部分を見つけられませんでしたので、国交省のサイトから、租税特別措置法施行規則を確認します。
馴染みが無いと全く解読が進みませんが、要するに
当該家屋の取得の日前二年以内又は取得の日以降に評価されたもの
と、確認することができます。
結局のところ、どちらも同じ条件であり、
評価書の交付日から2年以内に所有権を移転する場合のみ、古い建設住宅性能評価書を利用できる。
という結論です。
これは、そんなに難しくないですね。
なお蛇足ですが、2年以内であっても、評価基準が要件を満たしていることが条件になることをお忘れなく。
特に、住宅ローン減税で省エネ基準による上乗せを希望する場合、断熱等性能等級4以上だけでなく、一次エネルギー消費量等級4以上を取得していることが条件となりますので、きちんと確認してください。
実際には、一次エネルギー消費量等級まで取得している住宅はかなり少なくなっています。
この理由は別に説明していますが、以前の基準では、必須項目は断熱か一エネのどちらかひとつの選択で良かったためです。
建設住宅性能評価書を発行した性能評価機関に再度既存住宅として発行をお願いする方がいらっしゃいますが、経験上、ほとんどうまく行かないと考えてください。
まずは、先ほどお伝えしたとおり、既存住宅の建設住宅性能評価は全く普及していないということ、さらには、劣化状況を確認するため、現場検査をすることなど、ハードルが高いです。
そんなことをするくらいなら、省エネ計算のための書類をかき集めて「住宅省エネルギー性能証明書」を建築士事務所に依頼した方が早いでしょう。もちろん、弊社で承ります。
ただしこれは、計算に必要な書類が集まった場合に限ります。
マンションであれば、管理室に竣工図が保管されていますから、その写真を撮ることです。
戸建の場合は、設計図書にそれらの情報が入っているはずです。
それらの情報が入手できない住宅は、…
残念ながら、もはやその状況のみをもって、良質な住宅とは言えないでしょう。もう諦めるしかないです。
例えば、壁の断熱材の種類や厚みなど、現地に行ったところで、壁を壊さなければわかりませんので、もうそうなると、手の打ちようがありません。
それはもちろん、住宅を供給する側の責務でしょう。
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