補助金の確実性と簡便性のバランス
更新日:2023年5月3日
住宅に関する補助金の申請は、契約前に行なうことが通例となっています。
そのために、補助金のタイミングに合わせて施工時期を調整するという本末転倒な事態が起きており、さらにその申請内容の審査に1~3か月程度かかることが多いことから、その遅延も問題となっていました。
そういった状況を背景として、補助金申請前の先行契約(売買もしくは請負)を認めるという制度の改定が行われており、最たる例として、先進的窓リノベやこどもエコすまい支援事業などのように、申請後出しの1回申請というのが、シンプルで使いやすいとの評判です。
ところが、です。
全くこのような施策が裏目に出ているという例をお伝えいたします。
先般の、こどもみらい住宅支援事業の打切りによって、予定された補助が受けられず問題となりましたが、同様の予算枯渇による混乱が起きそうという心配です。
ただいま、「先進的窓リノベ」事業による窓の改修補助制度は、かつてない補助率により注目されている制度ですが、現在内窓の発注から工事まではおよそ3か月かかるといいます。
そうなると、心配になるのが予算の消化による制度の打切り。
補助金を前提とした窓の改修は進めたいけど、3か月後でも本当に使えるのかどうか。だけど、発注=契約をしないことには、進められないというジレンマです。
むしろ、旧来の補助金スタイルである契約前の申請によって予算を確保している制度の方が、安心して発注できるという状況が生まれてしまっています。
さて、どうしたものか。
先進的窓リノベについて、
4月28日時点で14%の消化。
ひと月で15%とみなせば、6か月で90%。
そうなると今のペースなら、
9月末がリミットです。
4月からの交付申請開始のため、11月から3月までの分がまとめて申請されたと考えれば、このペースで消化されることは無いのではないか。
また、内窓の製造遅延からして、急激に施工数を積み上げていくことは難しいだろう。
という理由により、おそらくペースダウンしていくという予想をしております。
それでも予算消化による打切りが不安だったら、どうすればいいか。
若干補助率が落ちますが、国の別の制度で1/3程度補助が受けられるものがありますので、そちらを選択するという方法もあります。また、都道府県や区市町村でも同様の制度で併給を認めるものがありますので、それらに視野を広げるというのも一考です。
ただし、前述のとおり、他の制度は請負契約前の申請を条件にしている場合が多いので、よく調べてください。
こちらは順番が逆ですから、そう簡単にスイッチするというわけにもいかないのです。
もし、補助制度を使いたいけど必要書類の理解が難しいとか面倒という方は、ご相談をお受けいたします。
なお、こどもエコ住まい支援事業は更にペースが早いですから、こちらはもらえないかもしれないことを前提として、「予約」の仕組みを必ず活用した方が良いですね。
おそらく、ZEH水準での新築の申請が、かなりを占めるのではと予想いたします。
こどもエコ住まいは、1,500億円の予算枠ですが、事務費が仮に1割として、使える分が1,350億円。
新築100万円で割れば、
13.5万戸分となります。
こぞってハウスメーカーなどが申請すると、足りなくなってしまいますね。
こちらは、確実に期間途中で予算を使い果たすことが決定でしょう。
トラブルが大きくならないことを祈るばかり。
果たして、これでZEHの普及に弾みが付くでしょうか。
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