補助金分を消費者が立て替える必要があるか
住宅に関連した補助金を受け取る場合、工事内容が補助要件に該当していることを、行政や委託を受けた事務局が申請書類や記録写真などによって確認するため、工事後しばらく経ってからの入金となります。
また、補助金はあくまでも工事発注者等(主には消費者)に還元されるべき性質のものですが、消費者の負担軽減のため、補助金の申請者を住宅事業者に限定する制度が多くあります。
そうなると、補助金の振り込み先が住宅事業者の口座ということになります。
さて、そこで全体の工事金額と補助金をどのように扱うかという問題が発生します。
①
補助の予定金額を差し引いた額を、工事発注者が支払ったうえで、住宅事業者に振り込まれた補助額はそのまま工事代金に充当する。
②
工事金額を全額工事発注者が支払ったうえで、補助額の振り込みがあった場合に、住宅事業者が工事発注者へ返金する。
この2択について、消費者目線では①が妥当で効率的はないかとの発想は納得がいくものであり、この①の方法を前提としているのが、「先進的窓リノベ」や「こどもエコすまい」です。
以下、先進的窓リノベ事業の例ですが、こどもエコすまい支援事業も同様となります。
先進的窓リノベ事業 共同事業実施規約
第4条(本補助金の支払と還元) 本補助金は、事務局が甲の提出した交付申請に交付決定を行った後、本事務局が、甲及び乙に通知する支払日に、甲が指定した甲の口座に振込を行うことで交付する。 2 甲が本補助金の交付を受けたとき、甲は受領した当該補助金相当額について、直ちに以下の①又は②の方法のうち、本規約に署名した際に合意する方法により乙に還元する。
2
① 本請負契約に係る乙の甲に対する債務(最終支払に限る。)に充当する方法
② 現金で支払う方法(ただし、本請負契約に係る代金が精算済みであり、乙の甲に対する債務に充当できないことが見込まれる場合に限る。)
交付申請の手引きより抜粋
ところが、①が全てなのかというと、意外とそうでもないのです。
例を挙げると、
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では、どちらでも良いというスタンスです。
①の場合には、次のような住宅事業者のリスクがあります。
補助金を受け取るつもりで請求額を差し引いていたのに、予算消化により補助が打ち切られてしまった場合に、工事発注者は補助額相当の残金を入金してくれるのか。
補助金が無事受け取れたとして、それが工事完了から相当の期間経過してしまう場合に、住宅事業者の資金繰りに影響が出ないのか。
これらのリスクを負ってまで、住宅事業者が①を選択するというのは、かなり勇気のいることです。
もし、国がこの方法を積極的に推奨するというのであれば、並行して、申請から入金までのタイムラグをできるだけ短くするための事務手続きの迅速化や、建材メーカー等の支払い期限などにも配慮を求めるべきではないでしょうか。
なお、補助金ありきの工事はそもそも普通の取引ではないという視点に立てば、住宅事業者が経営難に陥ってしまったり、トラブルを起こしてしまうのは本末転倒ですので、やはり②を選択するのもやむを得ないのではないかと考えます。
その結果、消費者の財布から出入りするお金が多くなってしまうのですが、公的な資金を個人が受けとるという状況であることから、それくらいの負担は仕方ないのではありませんか?
ところで、②を選択することになったとしても、それは当たり前という態度で接してはならず、消費者等への事情説明をきちんと行い、ご理解をいただくことを前提としてほしいものです。
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