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2023年4月からの省エネ証明書の運用変更(その2)

更新日:5月7日

前回のブログでは、省エネ証明書に関連する告示の構成と内容についてのみの解説としました。

さて今回は、このルールによる混乱の予想をお伝えいたします。




2023年4月以降、新築については、引渡前に現場確認をしないといけないということですから、当該住宅の供給関係者以外は「住宅省エネルギー性能証明書」をほぼ発行できないとなります。


国交省の資料によれば、2019年(令和元)で新築のうち省エネ基準を満たす住宅が8割程度と推定していますが、2025年の省エネ義務化を前にして、近年ではさらに基準を満たす割合が高まっていると予想されます。


では、2022年(令和4)入居の新築住宅について、確定申告時(ローン減税)にどれほどの住宅が省エネ基準以上として申告されたのでしょうか。

国税庁は、どの程度の割合で「その他区分」より上位となる申請を受け付けたのかを、ぜひ公開していただきたいものです。

「住宅省エネルギー性能証明書」が添付されているのは、せいぜい多くても10%台なのではないでしょうか。

お客様から聞く声として、住宅事業者が説明していなかったり把握していないというのが大半を占めますから、高い割合となるはずがありません。


このように住宅業界において「住宅省エネルギー性能証明書」の発行が浸透していない状況だとして、2023年度(令和5)からは、住宅供給関係者が証明書を発行しない場合、買主等の証明書発行依頼先が完全に閉ざされることになりますが、本当に大丈夫でしょうかと問いたいです。


一方で既存住宅は、引渡後6ヶ月までの調査が有効とありますが、確定申告時期が迫ってから、慌てて気がついたときには、既に6ヶ月を過ぎているという可能性があります。

そのため、引渡後1年程度までとするのが妥当な期間ではないかと考えます。



ここまで読んでいただいて、もはや手遅れだと気がつかれた方も残念ながらいらっしゃるでしょう。

しかし、このルールが大いに問題ありだとは思いながらも、勝手に破るわけにもいきませんので、お困りの方々はルールを作った先に投げかけてはいかがでしょうか。


既に制度創設当初から、このルールではまずいのではないかと国交省に直接問いかけておりますが、現時点で変わっていないということは、このままで進めていくという意思なのだろうと予想いたします。

ここ2年程度のうちに、新築は省エネ基準の義務化によって供給事業者側からの証明書発行が浸透する可能性がありますが、それまでの間、供給事業者の過失(基準を満たしていることに気づいていないことも含む。)による証明書未発行の不利益は、消費者が負うことになります。

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