既存住宅の贈与税非課税措置の適用が難しい理由(1)
更新日:2023年1月1日
既に、住宅省エネルギー性能証明書を贈与税非課税措置の「質の高い住宅」を証明する書類として活用できることをお伝えしました。
この情報は、この制度の利用可能性を広げる朗報なのですが、一方で一筋縄ではいかないという理由を順を追ってご説明させていただきます。
もし、新築の注文住宅を建築して、贈与を受けるというつもりであれば、もうそれは簡単です。
今では、省エネ説明制度がありますから、設計者に省エネ基準を満たすことを希望すれば、それで終了です。あとは、その建築士が住宅省エネルギー性能証明書を発行してくれるでしょう。この証明書が贈与税の非課税措置にそのまま使えます。
よく起こる問題は、既存住宅を購入する場合です。
基準は、下記の①②③の3パターンです。省エネ性、耐震性、バリアフリー性のいずれかの基準を満たさないといけません。
購入を前提とするなら、その住宅がこのような性能を持っているかどうかによるのですが、性能を持っているかどうかの確認が容易ではありません。
新築時に性能評価などの制度を利用しており、その情報が入手できた場合は、ある程度道が見えていますが、そういった性能に関わる書類が引継がれないことも多いと聞きます。
もし、そのような性能に関わる書類が入手できた場合は、新築時の評価を行った機関に問い合わせて、再度同じ評価をしていただけないか依頼をします。当時の審査した書類が残っていれば、承ってくれるかもしれません。
では、そのような資料が無ければどうするのか。
耐震等級は、資料が無いのであれば、等級1とみなすしかなく、さらに耐震改修をして等級2を取得するというのは、相当大規模な工事を覚悟しなければなりません。
高齢者等配慮対策等級はどうなのか。こちらは、トイレの大きさと戸建の場合では階段の形状がネックになり、これらの条件に合う場合に限られます。
そうなると、消去法で残った省エネ性でしか解決の見込みが無いのです。
例えば、マンションであれば内側の壁を剝がさなくても、竣工図で断熱材の種類などを確認し、大きな窓に内窓を設置すると、省エネ基準に適合し、贈与税負担も大幅に軽減することができる可能性があります。
とりあえず、一般論としては省エネ性能で勝負するのが近道であるということをお伝えしておき、次の説明に移りたいと思います。
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