省エネ基準適合業務の建築士への開放
更新日:2022年12月1日
建築士が発行を認められている書類として、耐震基準適合証明書や長期優良住宅化リフォーム支援事業の評価基準、増改築等工事証明書、建物状況調査などがありますが、住宅の性能等級に関わる書類の作成は蚊帳の外でした。
それは、住宅性能表示というやや専門的な分野を学習する必要があり、広く一般の建築士に任せることはできないという線引きがあったためです。
住宅性能評価員というのは、建築士の資格を持ち(建築基準適合判定資格者検定合格者も含む)、さらに上記のような評価員講習を受けて、住宅性能評価機関のもとで活躍することを想定しています。
受講料がそこそこかかるうえ、講習機関が指定する4日間の拘束を受けるので、他に業務を持っていると受講にもハードルがあります。
このような方々にチェックをしてもらって、住宅性能評価をはじめとした等級や長期優良住宅の審査などの手続きが行われているのです。
なお、フラット35の適合証明書についても差が設けられています。
全ての商品について適合機関(性能評価機関等を指定)で発行できるのに対して、建築士事務所では中古住宅に限定し、性能評価基準には該当しない、基礎の換気口のチェックなど、住宅金融支援機構特有の「適合基準」のみの検査と書類の発行が開放されています。
■建築士団体を活用した業務の案内
このように、お墨付きを与えるというレベルでは、明らかに評価機関等と建築士の間にはヒエラルキー(役割分担)があるのです。
ところが、昨今の省エネ基準の厳格化と普及に向けて、省エネ適判やBELSなどで性能評価機関もてんやわんや。建築士への役割を高めざるを得ない状況となりました。
その結果、省エネ基準への説明義務制度をはじめとした役割が、建築士に任されるようになったのです。
これからも、省エネ基準への適合から、さらにより高性能な誘導基準への展開など、建築士が担う範囲が明らかに広がっています。
このような流れから、省エネ基準の適合やZEH基準への適合は、建築士が証明できるということに進展したのです。
まずは、下記のこどもみらい住宅支援事業の証明書類から始まり、主題である住宅ローン減税の手続きに使う「住宅省エネルギー性能証明書」に繋がっています。
■こどもみらい住宅支援事業における住宅の性能等を証明する対象住宅証明書等の一覧
途中略
*「省エネ基準への適合性に関する説明書」が証明書類のひとつとして記載されている。
このような建築士が発行できる書類というのは、さらに上位とみなされている、
建築確認検査機関
住宅性能評価機関
住宅瑕疵担保責任保険法人
でも、発行の権限が与えられています。
ただし、どちらに書類の発行を依頼したら良いかといえば、もう建築士事務所一択です。
理由は簡単で、上位の機関に依頼するには、建築士などの専門家の力が無ければ、申請すら受け付けてもらえないからです。
そもそも、建築士事務所で発行できるなら、そういった機関を通す理由がありません。
敢えて言うならば、既に「BELS評価書」などを機関で発行するという目的があって、ついでに「住宅省エネルギー性能証明書」も発行したいというのであれば、やっても良いでしょう。
(それにしても、BELSの書類作成に建築士が関わっているなら、機関を通す必要があるかどうか。)
また折に触れていきますが、この建築確認の民間への開放の流れを汲む各機関の審査スタイルは、行政で行なっていた業務フローをベースとしていて、とっつきにくい印象を受けます。
それに対して、建築士事務所では、必要書類の作成や収集を住宅事業者や施主買主と一緒になって付き合ってくれますから、ラクに書類の発行手続きを進めることができます。
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