共同と戸建による外皮環境の違い
更新日:2022年12月10日
戸建住宅の断熱改修は難しく、共同住宅は比較的容易であることをお伝えしてきました。
一番の理由は、直感的に理解できるとおり、当該住戸に対して外気に接する面積が多いかどうかです。
外気に接する面は、室内外の気温差をキープする断熱性が求められますから、その温度差を維持できないと、じわじわと外気温に近づいていくわけです。
改めてたとえ話をする必要もないでしょうが、蓋を締めない魔法瓶やクーラーボックスではすぐにぬるく、あるいは溶けてしまうのは経験済みでしょう。
マンションの場合、お隣さんも同じような室温であるとすれば、その部分はお互いに熱の移動がほとんどないと考えて良いでしょう。
断熱材の施工面積が少ないし、熱損失の大きい窓も少ないので、断熱工事をするのもやりやすいというわけです。
ついでに、鉄筋コンクリート造だと気密性が高いという点も有利に働きます。
さて、かなり大雑把ですが、共同と戸建でどれほど外気に接する面積に差があるか、モデルケースによる比較をしてみます。
若干、戸建の方が大きいですが、できるだけありそうな数字で面積を近づけました。
注目していただきたいのは、外皮面積の合計欄です。
共同と戸建でほぼ近い270㎡程度であるにも関わらず、外気に接する面積は、共同ではわずか36㎡であるのに対し、戸建では266㎡です。
これだけの面積の差があって、そこの壁や窓の断熱性を向上させるとなれば、マンションの方がどれだけ容易かというのはご理解いただけるでしょう。
逆に、これほど少ない外皮の施工面積であるにも拘らず、断熱性能の向上に熱心に取り組んでこなかったとも言えます。
省エネ基準の厳格化によって、熱伝導率の非常に高いアルミを使用したサッシが戸建から駆逐されようとしているのに、未だにマンションではアルミペアガラスが標準仕様であることは、同じ住宅というジャンルであるのにも関わらず、かなり様相が異なります。
(一部のマンションではアルミ樹脂複合サッシが導入されています。)
なお、これまで共同住宅の住戸間でも熱損失があるとして計算をしていたところ、その熱損失を考慮しない方法が新たに規定されましたので、そちらも今後改めてご説明をさせていただきます。
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