こどもみらい住宅の打ち切りによるドタバタ
更新日:2022年12月25日
こどもみらい住宅支援事業の予算消化による受付停止の余波が続いているようです。
下記の新建新聞の記事によると、アンケートをした工務店のうち6割が影響を受けており、うち半数は自社負担をせざるを得ないという。
新建新聞記事
毎日新聞記事
この制度は、補助分は住まい手に還元するという約束で、住宅事業者が補助金を受けるものですから、自社負担となれば大打撃です。
補助制度では必ず予算枠があって、無制限に確約できるものではないのですが、予算規模が大きいので、まだ大丈夫だろうと油断してお客様と約束してしまうと、こういったトラブルに巻き込まれます。
制度の不備を指摘する声もありますが、まずは良く知らない消費者に補助制度の特徴をきちんと説明し、万が一の補助を受けられない場合にどのような方針とするのかまで決めておく必要がありそうです。
どうしてもそれらの補助を見込むのであれば、補助金スケジュールに合わせた工程を組むしかなく、実際にそうしている住宅事業者の方もいらっしゃるようです。
そこでこの騒動を受け、国土交通省は救済措置として、次の制度である「こどもエコ住まい支援事業」における条件を緩和しました。
11月8日以降の工事請負契約又は売買契約としていた。⇨契約日は問わない。
事業登録後に着工したもの。⇨11月8日以降に工事に着手。
✳︎着手とは、新築の場合、基礎工事より後の工程の工事
「こどもみらい」では、着工後ならできる「交付申請の予約」という仕組みがあって、この手続きをすれば3か月間予算を確保してもらえます。
ただし、正式な交付申請の手続きは、
新築では、基礎工事の完了等の進捗があり、一定以上の出来高の工事完了後に、
リフォームでは工事完了後に、
申請できるというルールでした。
そのため、国の救済措置は11月7日以前に着工していた住宅は、「こどもみらい」の打ち切り日である11月28日までに予約手続きができたのではないでしょうかという理屈でしょう。
忘れずにすぐ手続きをしていた住宅は、「こどもみらい」に間に合うはずだし、11月8日以降の着工であれば「こどもエコ」で救済されるというわけです。
だけど、11月7日以前の着工後、予約手続きが11月28日までにできず、最短で20日かかってしまうとアウトとなるわけです。
住宅事業者にとって、申請手続きは本業ではありませんから、それを過失と言えるかというと、ちょっと厳しいと思いますね。
「こどもみらい」着工の定義
さて、根本的な話をしてしまうと、微妙な時期の差や申請するしないで100万円も差額がついてしまって良いものだろうかという疑問が湧きます。
たてまえは、誘導する住宅の水準を促進し、追加工事費用分(断熱工事など)を下支えして、経済効果を期待するという目的でしょう。
この論理でいくと、そもそもZEHを標準仕様にしている住宅事業者にとっては、このような制度が無くてもZEHにするのでしょうから、ちょっと目的がズレていますよね。
100万円も交付される補助制度があれば、さまざまな事情の方が殺到しますから、ばら撒きと言われても仕方ない部分はあります。
一方で、住宅ローン減税なら、該当者は先着順ではなく定められた減税を受けられますが、それでも、高額のローンを組んだり、相当額の所得税を払っていないと恩恵を充分に受けられず、高所得者がより優遇されてしまう仕組みです。
政策の誘導の難しさを感じるとともに、政府に対しては、いつまでも同じパターンではなく、改善された公平で使いやすい誘導策を、今後考えていただくことを期待いたします。
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